最高裁判所第一小法廷 昭和39(あ)744 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人武田博の上告趣意について。
所論中、原判決の憲法二八条違反をいう点については、同条は動労者の団結権、
団体交渉権その他の団体行動権を保障しているが、この保障もかかる権利の無制限
な行使を許容しそれが国民の平等権、自由権、財産権等の基本的人権に絶対的に優
位することを是認するものではなく、従つて勤労者が勤労争議において使用者側の
自由意思を剥奪し又は極度に抑圧するような行為をすることを許容するものでない
ことは、当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第一〇四九号同二
五年一一月一五日大法廷判決、集四巻一一号二二五七頁参照)。また、所論労働組
合法一条二項も、同条一項の目的達成のためにした正当な行為についてのみ刑法三
五条の適用を認めたにすぎず、勤労者の団体交渉において刑法所定の暴行罪などに
あたる行為が行われた場合にまでその適用があることを定めたものでないことも、
また当裁判所の判例とするところである(昭和二二年(れ)第三一九号同二四年五
月一八日大法廷判決、集三巻六号七七二頁参照)。しかして、原判決の是認する第
一審判決が認定した事実関係の下における被告人らの行為を以上説示したところに
照らせば、被告人らの右行為が憲法二八条の保障する勤労者の団体行動権の行使に
該当するものでないことは明白である。それ故、論旨は理由がない。
その余の所論は、事実誤認を前提とする単なる法令違反の主張であつて、刑訴四
〇五条の上告理由に当らない。よつて、刑訴四〇八条により、裁判官全員一致の意
見で、主文のとおり判決する。
昭和三九年一一月二六日
最高裁判所第一小法廷
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裁判長裁判官 長 部 謹 吾
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 松 田 二 郎
裁判官 岩 田 誠
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